江戸小紋 現代の名工に出会う – 鮫小紋 -

東京スカイツリーのふもとの商業施設・ソラマチには、「まち処 技人処」という地元墨田区の伝統工芸を紹介しているコーナーがあり、そちらで江戸小紋の現代の名工の方にお会いしてきました。

職人の作りだすものというのは、非常に精緻で細かいものが多いですが、こちらの江戸小紋というのは、写真でご覧いただければ分かるよう、カメラでは撮りにくく、とても細かい模様です。画像の生地は墨田区の「すみだモダン」に認定されている鮫小紋という柄です。

着物の産地、今回は”染”でいえば、実は東京も有名な場所がいくつかあります。今回お会いした職人の方のお話しによると、よっぽど地方の方が設備投資をして、機械化ができているらしく、むしろ東京の方が手で染めていることの方が多いようです。東京の方が作業だということが、とても意外でビックリしました。(文/藤木屋K)

 
 

小千谷縮を学生服のシャツ・ブラウスに。

キモノの産地視察で、先日訪れた新潟県小千谷市の某染屋さんが「小千谷市の中学校の夏の制服に”小千谷縮”を採用してもらいたいと思っている」とおっしゃっていました。小千谷縮は夏の素材だからこそ、制服のワイシャツやブラウスに最適です。コストはかかりますが、産地で育つ若い子どもたちが、その肌で、自分の土地に生きる物づくりを理解するのはとても良いことだと思います。市の協力を得て、実現したら面白いですね。

 

男の着物 藤木屋 / Fujikiya
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新潟キモノ産地視察/まとめ編

呉服業界ではなく、私木寺はこれまでアパレルメーカーに勤めておりました。アパレルメーカー時代、「現地現物」を大事にし、イタリア、中国、日本の毛織物の産地を実際に回ってきました。今回もそれと同じく、きもの産地を見たいと思い、いろいろな方のご助力があり、着物の大産地である新潟の機屋や染屋を訪問し、普通見れない着物生地の生産現場をこの6月中旬、二泊三日の日程で見て参りました。

*視察移動中、JR飯山線車内より撮った写真。米の産地としても有名ですね。田んぼが広っています。

新潟は、今回訪れた小千谷、十日町、塩沢の着物のほかに、燕三条が有名で、着物にとらわれない物造りが盛んな場所と言えます。歴史的な背景であるほかに、今回の視察で感じたのは、新潟の厳しい気候条件が物造りを発展させた要因であると思います。厳しい気候条件とは、言わずもがな「豪雪地帯が多いこと」です。今回訪れた塩沢紬の産地「塩沢」では、毎年11月から雪が降り始め、5月中旬まで残雪があるようです。つまり、一年の約半分が雪の中の生活になるのです。最大積雪は3メートルにも及び、報道で写真をご覧になったことのある方は多いのではないかと思います。

*塩沢の名士・鈴木牧之の書いた江戸後期のベストセラー「北越雪譜」の一節。

着物生地の生産は、アパレルいわゆる洋服に使われる生地の生産と違い、機械によるオートメーションがしずらく、今もなお細かい手の作業が多いです。新潟の着物生地のクオリティーの高さは、豪雪という気候条件の悪い中、生まれ育った新潟人の忍耐という県民性だからこそできる生地なのだということが、今回の視察を通して分かりました。

小千谷縮・小千谷紬の「小千谷」を訪れる
十日町紬・明石縮の「十日町」を訪れる
塩沢紬・本塩沢・夏塩沢の「塩沢」を訪れる
小千谷縮を学生服のシャツ・ブラウスに。産地の夢

産地ごとの報告については、上記に掲げたページに書きました。是非、ご覧ください。同じ新潟でも、それぞれに特徴あります。今回に限らず、新潟の着物産地には、何度か訪れ(それこそ冬にも)、今後も、より一層その魅力をお伝えできればと思っております。(文/藤木屋K)

 
 

キモノ産地視察/塩沢紬・本塩沢・夏塩沢の「新潟・塩沢」

高級絹織物として知られる塩沢織物の産地「塩沢」。塩沢織物は生産の減少が進み、塩沢紬は「幻の紬」と言われてしまうこともあります。その真意を確かめるべく、今回の視察スケジュールでは、当初塩沢を訪れる予定は無かったのですが、急きょ視察の日程を延長し、十日町から塩沢まで足をのばしてきました。

塩沢到着後、現地で仕入れた情報をもとに、コネの無い機屋に電話をし、なかば飛び込み営業のかたちで訪問した上、ありがたいことに製造工程を見学させてもらいました。機屋の方が言うには、最盛期の昭和54年は機屋が100社を越え、年間生産反数は約4万5千反をほこっていました。しかし、現在は生産の減少が進み、機屋もわずか9社、年間生産反数も約7千反に落ち込んでしまいました。しかし、本当の上質を知るお客様の中には、他の日本三大紬である大島紬や結城紬では味わえない渋さに惚れこんだ方も多くいらっしゃいます。

さて、当日の突然のお願いであったものの、もはや大手企業の一員ではない、言ってみれば何者か分からない僕を暖かく迎えてくださいました機屋の皆みなさまに、藤木屋一同、とても感謝しております。(文/藤木屋K)

*現地のとあるルートより仕入れた塩沢織物のサンプル。男キモノで着れそうな生地もいろいろ

 
 

キモノ産地視察/十日町紬・明石縮の「新潟・十日町」を訪れる

キモノ産地視察では小千谷のほかに「十日町(とうかまち)」にも訪れています。JR飯山線の路線図では「十日町紬」が紹介されているように十日町は着物の産地です。周囲は山々に囲まれており、冬場は2~3mの積雪がある「特別豪雪地帯」に指定されております。十日町タクシーの運転手の方は「もう6月だけど、今も場所によっては残っているところがあるよ」と言ってました。

*十日町で織られた「明石縮(あかしちぢみ)」(写真/藤木屋F)

十日町は、十日町紬のほかにも「明石縮」を織っています。明石縮は絹織物の縮で、同日視察に行った小千谷縮は麻織物の縮です。明石縮は、麻の小千谷よりもお値段がはりますが、暑い季節に適した縮でありながら、絹のもつ光沢により上品さを兼ねそなえています。新潟なのに明石と名が付くのは諸説あるようで、ここ十日町の方が言うには、兵庫県明石出身の職人がここ十日町に渡り、広めた織物であるから、あるいは明石さんという方が作った織物であることからなど、その由来は様々です。

*JR飯山線の車内の路線図に、十日町紬のイラストが描かれています

視察中はアクセスの関係もあり、二泊三日の二泊とも十日町で過ごしました。新潟はキモノ産地であることながら、米の産地でもあります。宿泊した旅館の朝ご飯は、新潟産のコシヒカリでした。私普段は白飯のおかわりはしない方なのですが、やはり産地で食べるコシヒカリはまた格別に美味しく、おかわりをしました。新潟お越しの際は、是非お泊りの旅を^^(文/藤木屋K)

 
 

藤木屋、twitterはじめました。

実は新潟きもの産地視察初日から、密かにtwitterを開始していまして、昨日まで藤木屋コンビの「藤」の方でつぶやいていたのですが、明日からは私「木」のピン視察になるので、私木寺からのつぶやきで。事実上、初twitterです(笑)
藤木屋Twitter:https://twitter.com/fujikiya

 
 

小千谷縮・小千谷紬の着物産地「小千谷」を訪れる。

着物の産地視察のため、ただ今、藤木屋・藤本ともども新潟に来ております。今日・明日・明後日の三日間の中で、新潟の着物産地を出来る範囲でいくつか訪れる予定です。本日訪れたのは、夏の麻織物で有名な小千谷縮(おじやちぢみ)の「小千谷」です。日本一長い信濃川が小千谷にも流れており、田園もあり、のどかな印象を受けました。

小千谷は豪雪地帯でもあり、1階は駐車場、2階に入口といった構造の家も見かけました。実は、夏着物生地・小千谷縮にとって、この”雪”は非常に重要な要素であり、織った生地を雪の上に置いて(さらして)、雪が溶けるときのオゾンの漂白効果を利用して、染料の色を鮮やかにするようです(「雪さらし」の工程)。江戸時代から、雪さらしの工程はあるようで、どうやって発見したのでしょうね。

今回の視察で驚いたのですが、小千谷縮・小千谷紬という織物は知っていたのですが、一方は麻の織物、もう一方は絹織物。実は、この二つの織物、同じ機屋の同じ織機で織っています。僕は同じ小千谷でも、違う機屋で織っているのかと思っていました。

そして、残念なことなのですが、小千谷というのは、小千谷縮が麻織物として比較的ブランディングが成功している産地で、産地としてもそれなりに活気があると思ったのですが、やはり最盛期に比べると機屋も減り、今や十数軒しか残っていないようです。ただ、二、三十代の若い世代が、就職して一度は小千谷を離れたものの、また地元に戻ってきて、機屋を継ごうという動きがあるようです。後継者がいない、ということで無くなってしまいそうな産地もありますが、小千谷にはその心配が無さそうです。ただマーケットが縮小し続けてしまえば、危険信号が灯ります。着物業界、盛り上げていなければいけないですね。(文 / 木寺)

 
 

着物の産地、新潟に行く

現地現物をモットーとして、私木寺はこれまで仕事をして参りました。紳士スーツをこれまで長く扱ってきまして、イタリア、中国、日本の毛織物の産地を実際に回ってきました(会社員時代もポケットマネーで)。産地を見て、何が変わるかといえば、織元の職人の方から聞いた生の声と、織機のカシャンカシャンという音を聞いたことによって、その産地の織物を自信を持ってオススメできることです。

明日から、小千谷縮、十日町紬、塩沢紬、越後上布、片貝木綿などを擁する着物の産地・新潟に藤木屋として行って参ります。実は今回の新潟視察が、僕の人生にとって初新潟となります。新潟は、着物の産地のほかにも、燕三条などモノづくりが息づいています。今回の新潟視察がどういった形で繰り広げられるか、まだ分からないですが、新潟に足を踏み入れることによって、モノづくりの息づかいを感じることができれば幸いです。それでは行ってきます!(文/木寺)


*木寺手製による新潟視察のしおり。差支えの無い部分をば(笑)

 


きもの産地紀行