着物の産地視察のため、ただ今、藤木屋・藤本ともども新潟に来ております。今日・明日・明後日の三日間の中で、新潟の着物産地を出来る範囲でいくつか訪れる予定です。本日訪れたのは、夏の麻織物で有名な小千谷縮(おじやちぢみ)の「小千谷」です。日本一長い信濃川が小千谷にも流れており、田園もあり、のどかな印象を受けました。
小千谷は豪雪地帯でもあり、1階は駐車場、2階に入口といった構造の家も見かけました。実は、夏着物生地・小千谷縮にとって、この”雪”は非常に重要な要素であり、織った生地を雪の上に置いて(さらして)、雪が溶けるときのオゾンの漂白効果を利用して、染料の色を鮮やかにするようです(「雪さらし」の工程)。江戸時代から、雪さらしの工程はあるようで、どうやって発見したのでしょうね。
今回の視察で驚いたのですが、小千谷縮・小千谷紬という織物は知っていたのですが、一方は麻の織物、もう一方は絹織物。実は、この二つの織物、同じ機屋の同じ織機で織っています。僕は同じ小千谷でも、違う機屋で織っているのかと思っていました。
そして、残念なことなのですが、小千谷というのは、小千谷縮が麻織物として比較的ブランディングが成功している産地で、産地としてもそれなりに活気があると思ったのですが、やはり最盛期に比べると機屋も減り、今や十数軒しか残っていないようです。ただ、二、三十代の若い世代が、就職して一度は小千谷を離れたものの、また地元に戻ってきて、機屋を継ごうという動きがあるようです。後継者がいない、ということで無くなってしまいそうな産地もありますが、小千谷にはその心配が無さそうです。ただマーケットが縮小し続けてしまえば、危険信号が灯ります。着物業界、盛り上げていなければいけないですね。(文 / 木寺)