高級絹織物として知られる塩沢織物の産地「塩沢」。塩沢織物は生産の減少が進み、塩沢紬は「幻の紬」と言われてしまうこともあります。その真意を確かめるべく、今回の視察スケジュールでは、当初塩沢を訪れる予定は無かったのですが、急きょ視察の日程を延長し、十日町から塩沢まで足をのばしてきました。
塩沢到着後、現地で仕入れた情報をもとに、コネの無い機屋に電話をし、なかば飛び込み営業のかたちで訪問した上、ありがたいことに製造工程を見学させてもらいました。機屋の方が言うには、最盛期の昭和54年は機屋が100社を越え、年間生産反数は約4万5千反をほこっていました。しかし、現在は生産の減少が進み、機屋もわずか9社、年間生産反数も約7千反に落ち込んでしまいました。しかし、本当の上質を知るお客様の中には、他の日本三大紬である大島紬や結城紬では味わえない渋さに惚れこんだ方も多くいらっしゃいます。
さて、当日の突然のお願いであったものの、もはや大手企業の一員ではない、言ってみれば何者か分からない僕を暖かく迎えてくださいました機屋の皆みなさまに、藤木屋一同、とても感謝しております。(文/藤木屋K)
*現地のとあるルートより仕入れた塩沢織物のサンプル。男キモノで着れそうな生地もいろいろ